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自律神経失調症について

どんな病気でしょうか?

 一般によく知られた用語である「自律神経失調症」ですが、正式な病名ではなく、医学書や医学生が勉強する教科書にもあまりのっていない言葉です。「自律神経」とは身体を活発に動かすときに働く交感神経と身体を休めるときに働く副交感神経のことをさし、「失調」とはバランスをくずすことです。「検査をしても異常がないにもかかわらず、自律神経のバランスのくずれからくると思われる身体の不調がある」状態について、主に身体を中心に診察する科の医師が「自律神経失調症」と表現することが現代では多いです。

 精神科・心療内科領域では国際的な診断基準にも記載されている病名である「身体表現性障害」とほぼ同じものでありますが、身体表現性障害という言葉はあまり知られていない(仰々しく響く面もあります)ために患者さんにも知られた言葉である「自律神経失調症」という表現が使われやすいのです。

 身体症状で困っていても明らかな身体疾患はなく諸症状へ身体面から対処する薬剤を用いても有効でない場合でも、ストレスへの対処など心理的なアプローチや抗不安薬・抗うつ薬などの薬剤が有効なことがあるために精神科・心療内科で診療をしています。

 

「昔の自律神経失調症」について

 現代では「検査での異常がない身体症状」にほぼ限定されて自律神経失調症という言葉が使われます。精神疾患についての啓蒙が不十分で心療内科や精神科への受診をためらう人が多かった時代には、さまざまな精神疾患に対して精神科や心療内科の診断名をあえて使わず「神経衰弱」や「自律神経失調症」という用語が使われることもありました。

 

症状について

 明確な身体疾患にはよらない全身のさまざまな症状・不調に対して、自律神経失調症と表現されます。身体のみでなく、精神的な不調を伴うことも多くみられます。ひとつの症状だけでなく、複数の症状をともなうことも多いです。

 具体的には下記のような症状がありますが、記載したものがすべてではなく、これら以外の症状がでることもあります。

頭痛、頭が重い

目・耳・口

まぶしい、目が乾く、耳鳴り、口が渇く

のど

のどがつまる、のどがむずむずする

呼吸

息苦しい、息が早い

心臓

胸が痛い、胸が重い、どきどきする

消化器

おなかが張る、おなかが痛む、食欲がない、便秘、下痢

泌尿器

尿が多い、排尿しにくい

筋肉・皮膚

肩こり、筋肉痛、汗が多い

手足

しびれる、痛む、ふるえる

全身

倦怠感がある、疲れやすい

精神

落ち込む、不安、いらいらする、集中できない

 

診断について

 身体症状について、身体の病気からくる不調ではないかという判断が当然ながら必要です。特に身体の症状が悪化してくる場合、今までになかった症状がでてくる場合は、内科など身体を中心にみる医療機関で今一度診察をうけることをおすすめします。

 自律神経の機能についてごく一部を測定することはできても「自律神経失調症」と確定するための検査はなく、「心身の不調は確かに存在するが適切な検査・診察をしても身体疾患はない」と判断される場合に自律神経失調症と表現されることがほとんどです。

 身体面の不調に注目され自律神経失調症といわれたかたが、うつ病やパニック障害など別の精神疾患であることもたびたびみられます。当院では、身体面の精査をすすめるのではなく、精神面からの評価・治療について主におこなっています。

 

治療について

 精神科・心療内科ではストレスや症状とのつきあいかたについて考えてみたり、抗不安薬や抗うつ薬など薬剤により症状の軽減を目指すことをしています。身体症状にあわせた漢方薬を処方することもあります。症状がすぐになくなるのは難しいことも多いのですが、あせる気持ちが症状を長引かせることにもつながります。時間をかけながら徐々に症状が軽減してくることを目指します。身体症状が多岐にわたるなど身体面の評価をこまやかにするのが望ましいと判断される場合は、総合病院精神科での対応やもともと内科を専門とする医師が診察している心療内科への通院をすすめさせていただくこともございます。

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