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不眠症について

どんな病気でしょうか

 「本人が睡眠を十分にとれないと感じ、ときにそのせいで日常生活での支障がある」状態を不眠症と呼びます。

 よく誤解されがちですが、「〇時間眠れないから不眠とよぶ」という基準はありません。

 睡眠についてまず理解していただきたいことは、「人それぞれ必要な睡眠時間は異なる」ということです。一日の睡眠が6時間未満で平気なショートスリーパーとよばれるかた、成人でも9時間以上の睡眠をとらないと日中に睡眠不足を自覚するロングスリーパーとよばれるかたもいます。日中に過度な眠気がなく、睡眠に対して不調を感じていないかが重要であり、睡眠時間にこだわりすぎることはすすめません。

 

頻度について

 日本の一般人口で夜間不眠があるかたは約20%、不眠のために日中の機能に影響があるかたは約10%と言われています。どちらかというと男性より女性に多く、20~30才頃にはじまり40~50代で最も増えますが、高齢になってから不眠が出現することもまれではありません。

 

不眠の身体への影響

 不眠があると、食欲を増加させるホルモンを増やしたり血糖をさげるホルモンへ身体が反応しにくくなることで肥満や糖尿病をひきおこしやすくなったり、血圧の調節がうまくできなくなり高血圧をおこしやすくなるといわれています。

 睡眠は、食事や運動とならぶ重要な生活習慣であるといえます。身体の健康のためにも、不眠があるかたでは改善を目指すことがすすめられます。

 

分類について

 睡眠のどの段階で眠りがとれないかによって、大きく分けて以下の4つに分類されます。ひとつだけがあてはまることもありますが、複数をあわせもつことも多くみられます。

入眠困難

 寝付きが悪いことで、不眠のなかでも最も頻度が多い症状です。一般には寝付くのに30分以上かかり本人が苦痛を感じている場合に入眠困難と判断されます。

中途覚醒

 寝付いた後に何度も目をさまし、なかなか寝付けないことです。加齢により中途覚醒は増えるため、回数がそれほど多くなくすぐに寝付ける場合は必ずしも病的とは判断されません。

早朝覚醒

 本人が望む時刻より30分以上早く覚醒し、その後寝付けないことです。加齢により早朝覚醒は増えます。

熟眠困難

 時間としては十分な睡眠がとれているにもかかわらず、しっかり眠れたという感覚をもてないことです。

 

睡眠とアルコール

 「眠れないから、寝床にはいる前にアルコールを飲んで寝ている」かたもいますがこれはすすめられません。アルコールは飲み始めの一週間ほどは寝付きをよくする効果があるといわれていますが、その効果は持続しないと指摘されています。そもそも寝付き以外の睡眠の質をアルコールはさげ、途中で起きることを増やしたり早朝覚醒を増やすことにつながるといわれています。寝酒は習慣になると徐々にアルコール摂取量が増えやすく、身体への悪影響にもつながりやすいため、習慣にしないことがすすめられます。

 特にうつ病や不安障害など他の疾患を持ち不眠があるかたでは、アルコールが精神症状へ悪影響を与えることもあり注意が必要です。

 

睡眠と生活習慣について

 夕方以降のカフェイン摂取、夜の喫煙、就寝前のパソコンやスマートフォンの操作などは、夜間の睡眠を阻害することがあります。生活習慣のなかに睡眠を阻害する要因がないかを把握し、変更できる習慣は変更をしていくことがすすめられます。

 

むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)について

 「夜に眠れない」かたで注意が必要な状態に、むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群ともよびます)があります。下肢に落ち着かない感覚がでて睡眠の邪魔になり、足を動かすことでその感覚が改善する特徴があります。下肢の感覚は個人差があるようで、むずむずする、血が泡立つような感じ、虫が這うような感覚、痛み、かゆみ、不快な感じなど様々な訴えがあります。

 夜に多い症状ですが日中にでることもあり、下肢に多くでますが身体のほかの部位にでることもあります。

 むずむず脚症候群に対して有効な薬剤があるため、不眠のかたでは有無の確認が必要です。

 

診断について

 不眠をきたす精神科・心療内科領域の疾患は多数あるため、注意して診察をしています。他の疾患から由来する不眠では、不眠への対処のみならず疾患自体の治療が必要になります。

 不眠が主な訴えのかたのなかには、睡眠に対する適切とはいえない信念を持つために受診にいたり睡眠についての知識をえるだけで安心するかたもいます。

 不眠症と診断される場合にどの分類の不眠であるのか、生活習慣に問題がないかを中心に初診では確認をします。

 

治療について

 睡眠について正しい知識と生活習慣を説明しご理解いただき、薬剤が必要であればなるたけそのかたにとって最小限の薬剤で睡眠の改善をすることを目指します。

 不眠改善のために使用する薬剤としては、睡眠剤や睡眠導入剤とよばれる薬剤が中心になります。睡眠剤について、特に昔はイメージが悪い時代がありましたが、副作用が少なく安全性が高い薬剤の開発が近年ではすすんでいます。個々の薬剤ごとに患者さんの相性や飲み心地が異なるため、処方をしながらよりご本人にあう薬剤をさがしていきます。

 分類としては睡眠剤ではないのですが、抗うつ薬のなかに睡眠改善を主な目的として使用する薬剤があり有効な患者さんもいるため、状態に応じて使用を検討します。睡眠改善に有効な漢方薬もあり、他の薬剤があわないかたやご希望があるかたでは処方をします。

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