医療機関でお薬の話しをする際は、「薬のかたちや色」ではなく「薬の名前」をおしえてください
医療機関で処方されているお薬の話しをする際は、「薬のかたちや色」ではなく、薬剤情報提供書やお薬手帳をご覧のうえで「薬の名前」をおしえていただくようにしてください。
このことは、湘南こころのクリニック以外に受診された際にもおすすめします。このページをひらいたかたは是非最後までお読みいただければ幸いです。
薬の名前とは、薬局でもらう薬剤情報提供書やお薬手帳に『〇〇〇〇〇錠△mg「◇◇」』などと書いているものの〇〇〇〇〇(薬の成分名や商品名)のことです。◇◇については教えていただいても残念ながらどの薬かには結びつかないのです。
なんのことだろう?と思う人も多いでしょうから、ひとつ具体的な例をあげます。
『エスシタロプラム錠10mg「JG」』とかいてあるとしたら「エスシタロプラム」が薬の名前になります。より正確にいえば、先発品についてある「レクサプロ」は商品名、各社のジェネリックについてある「エスシタロプラム」は薬の成分名ですが、商品名と成分名の違いまでは患者さんが認識する必要はありません。
『エスシタロプラム錠10mg「JG」』のうち、「JG」は薬を作っている会社の名前であり、薬品名ではありません。「サワイ」、「タカタ」、「VTRS」、「アメル」、「明治」、「トーワ」、「日医工」、「ニプロ」、「TCK」などすべて会社名になります。製薬会社はさまざまな薬(日本では3000ほどの成分があります)を作っていること、さらには現在日本では薬剤の流通不足がおこっており医療機関で発行した処方箋に書いてある会社名と薬局で処方される薬の会社名が異なることも多くあり、会社名だけではどの薬のことかはわからないのです。
食べ物でたとえるなら「この料理にどの野菜を使いますか?」というときに「トマト」が情報としてほしいのに、「イタリア」「アメリカ」「カナダ」など産地だけを教えてもらっても参考にはならないのです。
「名前は面倒だから、薬のかたちや色、書いてある字をいえばわかるだろう」と思われるかもれません。しかしながら、医師は「薬のかたちや色」を教えてもらってもどの薬であるかほとんど判断ができません。なぜならば「薬剤師以外の医療職は、薬の実物をみる機会がほとんどない(入院医療機関に勤務する看護師は与薬の際に薬をみますが)」からです。そして、多数の会社が同じ成分の薬を作っており、さらには同じ会社の同じ薬でも薬の形や色が変わることもあります。そのため「白くて細長くて、青い字でアメルと書いてある、金色のシートにはいった小さい薬」といわれてもどの薬かはわからないのです。もちろん、「字が判別できる状態のシートにはいっている薬」ならば実物を拝見すればどの薬かはわかります。ただし、一包化されており薬剤名の記載がない薬をみても、どの薬か確実に判断することは困難です。
「薬の飲む時間と何錠飲むかいえば、どの薬かわかるだろう」という意見もでてくるでしょう。これについては、確かに「正確に内服する時間や錠数、処方された医療機関を把握していて適切に伝えていただける」ならばどの薬かはわかります。
しかし、これも注意しなければならないと考えています。以前診察で、「ふらつく感じあるから朝に1錠飲んでいる薬をやめていいでしょうか?」ときかれたのですが、当院で処方している朝の薬は2錠であったので再度どの薬のことかお薬手帳をみせていただいて確認をしたところ、内科からでている身体の治療のため重要な薬のことを患者さんが話していたこともあります。患者さんご自身が、複数の医療機関からお薬の処方をうけているため、当院からの処方と勘違いをしていたのです。
「かかっている医療機関がひとつ」であり「内服している種類も多くない」ならば「薬の飲む時間と錠数」でも間違いはおきにくいのですが、やはり「薬の名前」で教えてもらうほうがより正確になります。
例外的に、漢方薬については現在内服している薬が一種類であれば、「いまでている漢方」とだけ教えていただいてもどの薬かは間違えることはまずありません。ただし、「前にほかの病院でもらったことがあるツムラの〇〇(数字)がほしい」と数字をいわれても、私は番号は暗記しておらずどの薬かわからないので診察室のパソコンかスマートフォンで検索をさせていただきますのでご了承ください。余談ですが、漢方薬の番号は特にルールはなく割り振られているとのことです。漢方薬を扱っている製薬会社に入社すると、入社してすぐにすべての番号を覚えて筆記で漢字をかけるようにしなければいけないとのことで大変ですね、、。
長くなったのでまとめになります。診察で薬についてのお話しをする際は、お手数ではありますが認識の違いを防ぐため、薬局でもらう薬剤情報提供書やお薬手帳もご参考のうえで「薬の名前(成分名か商品名)」をお伝えいただくようご協力ください。これは湘南こころのクリニックだけでなく、他の医療機関におかかりの際にもお気をつけいただければ幸いです。
本来はもっとみなさまに知っておいてほしいことでありますが、なかなか知られていない実情があります。可能であれば何かの折に周囲のかたにもこのことをお伝えくだされば幸いです。
より適切な医療をおこなうためには患者さんの協力もかかせません。どうかよろしくお願いします。
